
皆さんは普段の書類作りで、どんなことを意識しながら文字の装飾を行っていますか?
重要だと思いつつも、なんとなく自己流で装飾している人もいるのではないでしょうか。
そんな方のために、今回は読みやすく訴求力のある文書作りに欠かせない装飾のポイントを一挙公開しました。
装飾は言外に様々なメッセージを伝える
例えば、装飾の一つである箇条書きについて考えていきましょう。
箇条書きを見ると、多くの人はポイントが並列的に整理されて示されたものという認識をもって、その中身を読み始めます。そのため、同じことを文章で示されるよりも直感的に分かりやすく、読み進める心理的ハードルが下がります。
このように、装飾は読者に対して、言外に様々なメッセージを伝える役割をもっています。
装飾は意味を持つからこそ、正しく使いましょう
装飾(表示の様式)はそれぞれ異なったメッセージを持ちます。
そのぶん、使う装飾を間違えてしまうと読み手に誤解を与えてしまうでしょう。
文書作成ソフトには、さまざまな装飾の手段があります。
これらを経験則で使っている人も居るかもしれませんが、上手に使いこなすために、その性質を改めて確認してみましょう。
今回はMicrosoft Wordの機能に沿ってご紹介します。
文章の構造を視覚的に表す
どんなにわかりやすい文章を書いても、それをすべて1から10まで読まなければ内容が把握できません。文章だけをただ並べて説明するより、視覚的にまとまっているほうが内容を理解しやすく、整理されている印象を与えます。
箇条書きを適切に使う
先ほど装飾の例としてとりあげた箇条書きについてですが、
この装飾は、読者に対して、
- 同じタイトルが付く仲間どうしの情報である
- 箇条書き1つにつき1つの内容が描かれている
- 並んでいる情報の重要度や言及する範囲(粒度)は同じである
という心構えにさせるようなメッセージ性を持ちます。
上記の条件を満たす内容を記載するときは、積極的に利用しましょう。
一方で、迂闊に使用すると誤解を招く場合もあります。
箇条書きは前後の文とのつながりやリズムを考えなくて良いので、とにかく様々な内容を書き連ねたい時や、文章にする手間が惜しまれるときにも役立つ便利な技です。
そのためつい乱用しがちですが、正式な文章を書く場合は本来の性質に沿った内容か確認して使いましょう。
表を適切に使う
表は、縦横に並ぶ情報の関連性を意識させる形式です。
1列、または1段の表であれば、同じ主題を持つ同列な情報、という意味を持ちます。これはリストにも近い方法です。
列や段が増えると、同じ列/または同じ段にある情報同士は同じ属性を持つ、という印象を与えます。
(ex. 並列な情報を、3 x 4の12マスに入れてしまうと、なかなか並列な情報とは気付けません。
多くの人は表を見た瞬間に、縦横の関係性を探ろうとするでしょう。)
見出しを強調する
見出しの強調には、太字による強調と文字サイズの強調を組み合わせて使うのがおすすめです。
以下に組み合わせの例を挙げました。
見出しやタイトルなどの装飾は「スタイル」の機能を使用すると流用しやすく便利です。
文字のサイズ差が小さいほど、厳粛な雰囲気が出ます。シーンに合わせて適切なものを使用してください。
出力する書類に使い易い 明朝+ゴシック
[見出し1段階]
文字の大きさは変えず、ゴシック体に変えて太字にする方法です。
見出しと本文のサイズ差を大きくするにつれ、本文の存在感が薄れていくほか、ポップで若々しい印象が強くなります。
本文を隅々まで読んで欲しい場合や落ち着いた印象を与えたい場合に有効な組み合わせです。
[見出し3段階]
文章の階層が深くなったら、上の階層の見出しほど目立つよう、文字サイズを上げましょう。階層は文章の整理に便利ですが、多くても3段階程度に納めた方が読み易いです。
掲示物やパンフレットに適した大きめの見出し
見出しと文字サイズを比較的大きめに設定したサンプルです。文章にめりはりをつけたいときや、掲示したいときに活用してください。
明朝体のみで仕上げたい場合
明朝体は同じフォントサイズのまま太字にしても、差がほとんど分かりません。フォーマルな雰囲気を崩さない程度に、見出しを少しだけ大きくしたサンプルです。
明朝体の魅力のひとつは、線の強弱が生み出す繊細な印象です。しっかり文字のサイズ差を付ければ、太字にせずとも見出しとしてアピールできます。モニタでのみ見る書類は本文もゴシック体にすると読み易いです。
背景に色を置く
コラムや例、話題の切り替えなど、本文と区別したい内容を記載する場合、そのエリアだけ背景の色を変える方法が有効です。1マスだけの表を作り、セルに色を設定する事で再現できます。
ポイントは背景色と文字色の組み合わせ方です。ごくごく薄い色に黒い文字を重ねるか、どっしり濃い色に、太字にした白い文字を重ねると成功しやすいです。
絵具やクレヨンのような、パレットで見た時に華やかに見える色をどちらかに使ってしまうと
文字と背景色のコントラストが足りず、読みづらくなってしまうことが多いです。
文中の一部を強調
強調は基本的に、注意を引く以上の意味合いは持ちません。
ただし、さまざまな手段がありますので、それぞれ役割を決めて適用することが重要です。
人は無意識に共通の意味や記号性を見つけようとしますので、同じ記号に様々な意味を込めると誤解に繋がってしまいます。
更に、少しポイントを押さえるだけで、ワンランク上の強調ができます。
強調する前に、強調すべき箇所を絞り込みましょう
何かを強調する上で重要なのは、どこを強調するのか精査することです。
書き手は伝えたい気持ちが強いので強調だらけになりがちです。
しかし強調は、全く無くても単調で飽きさせますが、多すぎると読み手に辟易されてしまいます。
効果の高い強調をするには?
- 強調が多すぎないかチェックする
極力客観的な視点に立ち、強調が多すぎないか、くどくないか確認しましょう。
確認方法の例
・社外の人物になりきって書類を見てみる
・大手企業が発行している書類(契約書類、説明書など)と印象を見比べる
- 本当に強調すべきか?精査する
強調が多かったら、どこを強調しないでおくか考えましょう。
強調を外すフィルタリングに役立つ問いは以下の通りです。
・その文書で核となる内容はどれか?核から遠い話が強調されていないか?
・この強調を行うメリットは、核となる内容を際立たせることより大きいか?
精査がうまくいけば文書の軸が明瞭になるため、印象に残り易いです。
- 精査しても尚多い場合は、重要度に順位を付ける
・核になる部分が見つかっていれば、それを1位にする。
・2位以下は複数あってもよい。
- 見合った装飾を付ける
強調箇所の絞り込みは、どう強調するのか?よりもずっと重要で、効果が高く、難しいです。
これを身につけられれば、きっと説明上手になっているはずです!
さまざまな強調表現
太字にする。
文字のサイズを変えずに、太字(Bold)に変える方法です。
特別意図がなければ、太字を使っておけば良いでしょう。
ポイントは、強調したい箇所を「ゴシック体」にした上で太字にする事です。
明朝体を太字にしてもあまり太く見えませんが、ゴシック体ならしっかり太くなります。
文の背景に色をつける
文字の背景に「網かけ」をいれる方法です。
少しだけ可読性が下がるので、網かけを強調の主軸にするのはおすすめしません。
また、蛍光ペンのように鮮やかすぎる色は読み手が疲れてしまうので
きちんと読んで欲しい箇所への適用はなるべく避けましょう。
特別な例として、鮮やかな黄色の網かけ+黒の文字、または鮮やかな赤の網かけ+白の文字は
読みづらいながらも危険に対する注意喚起や禁止のメッセージを放ちます。
場面を選んで効果的に使いましょう。
下線をひく
下線でも強調できますが、あまり主張は強くないので、控えめに注意を促したいときに重宝します。多用すると書面に雑多な印象を作り出してしまいますので慎重に使いましょう。
囲み線
囲み線を使うと、その部分だけ明らかに異質になります。短いキーワードを強調するときに効果を発揮します。
ただし、以下のように長い文章や複数行に対して囲み線を使うのは避けましょう。高密度に並ぶ枠線が主張しすぎて、文字の可読性が著しく下がってしまいます。
複数行を囲みたい場合は、1マスだけの表を作って、その中に文字を入力しましょう。
このように、装飾には様々な効果があります。記事を参考にして、それぞれにあった装飾の使い方を研究してみましょう!